発酵食の歴史は古く、古代から発展させてきた日本が誇る伝統的な食文化です。
そして今、世界的にも発酵食品がもたらす高い健康効果が注目されています。
「発酵ラボ」は、“発酵食の知恵と文化を再発見”をテーマにしたライフスタイルメディア。
健康と環境にやさしい暮らしを過ごすための情報が詰まっています。
自然の力で偶然に誕生した発酵食品
発酵食品の起源をご存じですか?
そのルーツは諸説あるようですが、いずれも偶然の産物だったと伝えられています。
遊牧民の水筒から…
今から5000年前、アラビアの遊牧民が乾燥したヤギの胃袋で作った水筒にミルクを入れて大移動していました。喉の渇きを癒すために、何日か経ったミルクを飲もうと水筒を開けると、中には透明の液体と白い塊がありました。遊牧民たちはその塊を少し口にしてみると、酸味があり独特の味わいだったそう(現代のヨーグルト)。
これが発酵食品誕生の起源ではないかといわれています。
潰れたブドウがワインの始まり
ワインは潰れたブドウが起源とされています。
人類よりも古くから自生していたといわれるブドウの木から実が地面に落ちて潰れ、果皮に付いている天然の酵母によって勝手に発酵したことがワイン誕生のきっかけになったといわれます。その後、潰れたブドウがヨーロッパで本格的にワイン製造されるまでに至ったそうです。
朝ご飯の定番「納豆」も
納豆の起源と発祥はさまざまな説がありますが、いくつか紹介します。
弥生時代に始まった大豆などの豆類の栽培。ふだんは煮て食べられていたよう。その時代の住居の中には炉があり暖かく、床には藁や枯れ草が敷かれていました。暖まった住居の中で、敷いた藁に煮た大豆が偶然落ち、そのまま放置。自然に発酵して納豆になったという説があります。
また、こんなユニークな説もあります。聖徳太子が愛馬に煮豆をエサとして与えていたそう。余った煮豆をもったいないと藁に包んで置いておいたら自然に発酵し、食べてみたら非常においしく、それを民衆に広めたというエピソードもあります。
偶然の産物から、先人の試行錯誤を経て…
このように発酵食品のルーツは、もともと偶然できたもので、その土地の気候や風土が大きく影響しました。自然界にいる微生物が食材に付着し、時間が経過することで、独特な味わいと風味を生み出してきました。
発酵食品はニオイや酸味が強いのが特徴ですし、いちばん最初に口にしてみた人はかなりの勇気を持って食べたのでは、と想像できます。
先人たちの試行錯誤によって、今では当たり前に冷蔵庫に並ぶ味噌や醤油、納豆、漬物、チーズ、日本酒、ワインなどの食品に生まれ変わり、世界各地で伝統的に受け継がれている食文化を形成しています。